そこは暗く、狭かった。
部屋というより牢獄の様だ。
銀夜と一緒に連れて来られた子供たちの顔色は悪い。
時たま大人がやって来て一人ずつ子供を連れ出して行く。
何故その度に怯えた目をするのか不思議だった。
「おまえ」
「おれ?」
突然話しかけられ、きょとんとした。
気付けばそこにはもう2人しか残っていなかった。
「おまえ…ホントに何もしらないのかよ」
歳は篠たちとそう変わらない様に見えた。
「?」
「おまえ死ぬぜ」
しかしその声もその表情も、篠とは違う意味で大人びている様に感じた。
「え?なに…」
「そのまんまだよ。次は俺だ。さっきの奴が六番。俺は七番目だからな」
あまりに淡々とした声。
銀夜は聞きたいことがたくさんあったけれど、聞いても答えはもらえない気がした。
「よくわかんないけど一つきいていい?」
「何?」
だから全く関係ない、しかし銀夜にとっては重要なことを尋ねた。
「ココの人たちはみんなおれがこわくないの?」
あまりに場違いな質問に、豆鉄砲をくらったような顔をした。
「何それ。おまえ変なヤツだな。まあ、何もしらないからか」
そう言って一人クスクスと笑い出す。
子供らしさはないが、その場が少しばかり明るくなる。
「??」
ほんの少しの間、笑うと銀夜を見た。
「おまえなんか怖くないよ。誰も怖がんない。つうか、その髪だってきれーじゃん」
銀夜が何故こんな質問をしたのかわかっているようだった。
「………ッ!ほ、ほんと?」
「うん。あ。来た……」
足音が聞こえた。
「な、なまえ……」
「那七(なしち)だ」
戸が開かれる音がする。
「生きてたらまた会えるかもな」
ばいばい、と小さく手を振ると那七は男と一緒に出て行った。

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